青パーカーの書き散らし

宗谷岬でまた会おう。旅の記憶と知識の記録。

年越し宗谷岬16 あとがき(装備やルート)

※2016年の記録なので、この記事を編集している2022年の今と考え方が違う部分があります。

年越し宗谷岬ツーリング2016

厳冬期北海道ツーリング、通称・年越し宗谷岬ツーリングシリーズ、つたない文章と身内ネタだらけですが楽しんでいただけたのならなによりです。

"思い立ったが吉日"と親にお金を借りて110のカブを北海道で買ってそのまま宗谷岬を目指しました。若気の至りです。
その経験はどこかでなにかの役に立つかもしれないし、立たないかもしれないけれど、一生記憶には残ると思います。

この記事は、そんな年越し宗谷岬ツーリングの最後のまとめです。
内容についての客観的な正当性は一切無い自分の感想で、反省で、備忘録なので、見た人は参考にしないでください。

移動手段について

晦日宗谷岬を目指すと聞いて真っ先に思い浮かべる乗り物はバイクだと思う。
普通の人は絶対にそんなこと無いと思うけれど。
でも案外バイク以外もいて、車、自転車、果ては自分の脚などがあった。
ちなみに観光のバスも出ているから、鉄道で稚内まで行くのも良いと思う。

自分はカブを選びました。
なぜなら、カブがこのときの自分にとっては全てだからです。
それ以外の理由は無い。

でも実際に走ってみると、荒れた路面には絶対にオフ車が良いよな、と思った。
というか、オフ車でやっとマイナスがゼロになるくらいじゃないかな?
よく知らないけれど、サスペンションとか、タイヤのサイズとか選択肢とか、色々劣るところがあるんだと思う。

オフ車を乗りこなすための技術や筋力、購入費保険料維持費などなどのハードルがあって、貧乏学生にはそんな選択はできないかもしれない。
そんなときには、カブは本当に手軽でいい選択肢だと思う。
操作も簡単でオプションも豊富、なにより荷物を積むことに特化しているので、ただでさえかさばりがちな冬の装備類を積んでいける。
いたるところに補修パーツが置いてあるので、万が一の時でも対応の幅が広がる。

でも覚えておかないといけないこともある。
カブはバイクとしては多分役不足なので、自分の実力がそのまま戦闘力になる。
なので、腕に自身がないならオフ車の装備に助けられながら乗るべきだと思う。

2022年12月 注記
あの後、2018年にオフロードバイク XLR250Rを買いました。 コースを走ったりすると、その優位性が確実なことはわかりました。サスがやっぱりいい。
17年、18年、20年はカブで行ったけれど、もう限界は見えたのでそろそろオフ車で行きたい。

バイクの装備について

必ず必要、スパイクタイヤ or スノータイヤ+チェーン

これさえあれば、最悪あとは何もなくていいと思う。
ただしこれがないと始まらない。

自分はスパイクタイヤ派だけどチェーンはどうなんだろう。
アスファルトむき出しの硬い路面だとすぐ切れるイメージがあるし、R6で来ていた人はチェーンは走れなかったって言ってた気がする。

あと、今回使用したタイヤは市販のスノータイヤにピンを100本くらい打ち込んだ BONSUN(ボンサン、ボンスン)のタイヤ。グリップは良くない。
ピンの数が少ないだけじゃなくて、突き出しの量や径が小さいピンだったりするのが理由?

先を急ぐような走り方だと、「無いよりはあったほうがマシなレベルだ」と出発前の自分にそう言いたい。
予算に余裕があればフルピンのスパイクタイヤを用意したかった。

必ずでないがあったほうがいいもの

ナックルガード
ハンドル周りについている白いやつ。要は手の部分の風よけ。
自分はパーツの干渉というトラブルがあって左側しか付けていない。
あるとハンドル周りの防風に役立つ。

ハンドルカバー
ハンドル周りについている黒いやつ。内部はボアになっていて温かい。
左側はナックルガードに隠れているけど、そっちにもついている。
でも貫通式のやつだとラップなり何なりをしないと、走行風がカバーの中に入ってきてクソ寒い。

グリップヒーター
名前の通り、グリップ部を電気の力で暖かくする装置。
自分のはホンダ純正の半周タイプ。社外の全周タイプがおすすめ。
ナックルガード、ハンドルカバーと併用することによって、ハンドル周りに"こたつ"を生み出せる。

風防
バイクとは常に風を感じる乗り物なので、その疲労を低減するために風防があると良いかも。
問題点を挙げるならば、ベチャ雪が風防に堆積、結果 大型の風防だと前が見えなくなったり、ヘッドライトの光が乱反射して路面が見えなくなったりする。

フロントキャリアとかご
本当ならば何も積載したくないフロント周り。
重ければ重たいほど、振られてスリップダウンしやすくなる。

リアボックス
オフローダーの方の一部はリュックサックでした。
走行中にリュックとか辛くないんか?と思うけれども、なるべく車体を軽くして操縦性を高めるための工夫なんじゃないかな。

自分は防水性に富んだボックスにした。
買ったときから付いてただけだけれど、これがちょうどよかった。

サブライト

色は黄色など、雪の白に反射し易い色が良いと思う。
逆にアスファルトの上では見にくい。
私は3wx6個x2基付けました。
合計36wの電気食い。正直消費電力の割に明るくなくて困っています。

その他
あとキャブ車はキャブ車でセッティングしたり、オイルは柔らかいの使っておけばOKだと思う。
オーバークール対策はしていない。温度計も無かったので分からない。

のっつーが10W-40のオイルを使ってたけど、あれはヤバいと思った。

つみ荷

バイクに載せたものたち。

寝具・シェルター

左から、シュラフカバー、夏用シュラフ(2万7千円)、夏用シュラフ(3000円)。
iPhone5は比較用。

お金がなくて、既存のシュラフを使うなど。だから夏用シュラフが2つ。

夏用シュラフはやめましょう。
-15度くらいが限界だったので。
シュラフカバーも透湿性のあるものを選択するべし。 安くても1万ほどだけど、数千円のものではシュラフカバーとシュラフの間がビシャビシャになる。無いほうがマシ。


テント mont-bell ムーンライトⅡ型

設営場所やその時の環境によっては数千円のテントでも一晩過ごすことは可能だと思う。
でも、よほどのことがない限りそんなテントで行くべきではないと思う。

欲を言えば雪山用のテントを持っていきたかったけれど、通年使っているムーンライトⅡ型を使用しました。
比較的風に弱くて、しかも風をよく通すテントだけど、外気から身を守ってくれた。


銀マット、ブルーシート、バイクカバー

寝るときは、銀マット1枚のみを体の下に敷きました。
底冷えするような感覚はあります。

ブルーシートはグラウンドシート代わりです。

バイクカバーを使用することはありませんでした。
次に行くときは持っていかないと思います。

工具や部品、ガソリン携行缶、カッパ


紙ウエス、空気入れ、工具箱

紙ウエスは現地でオイル交換する必要があったから持っていきました。


工具

プラグは、純正指定6番なのですがなぜか7番を持ってきてしまいました。
冬なので燃焼室温度も下がるから5番か6番が妥当だと思う。

パンク修理キットは、もしも予備のチューブをすべて使用してしまった場合に備えて常に持っています。
寒い環境でもゴムのりが使えるのかは不明。


補修材料

針金は常備してるやつ、電線類はサブライトを取り付けるために持っていったやつ、その他の部品は現地で買ったやつ。
特殊な場合を除いて持っていく必要は無いと思う。

あとサブライトのスイッチを現地で取り付けるときに両面テープを使おうとしたけれどくっつきませんでした。寒いからか?多分寒いからだと思う。


カッパ、ガソリン携行缶(3L)

一度も雨が降らなかったのと、雪がサラサラだったから、カッパは使用しなかった。
カブ、名寄で給油することを前提とすれば、携行缶は1Lでも十分。
十分に自分の走るルートを吟味した上で容量を決めよう。


着替え入れの圧縮袋、割り箸、ツーリングマップル、貼るカイロ

自分のようないい加減な人間は1日分の着替えで十分でした。

割り箸は要らないかな、と思う。
フェリーで持ち込みのカップ麺を食べるために用意したけど、持ち込むのを忘れていたので...

化学反応で熱するタイプの一般的なカイロは、一度暖かい場所で発熱させてからでないと効果が無かった。
でもシュラフの足元などに入れておくと快眠度が上がるのでぜひ持っていきたいアイテム。


雑貨(非常食、常備薬、本、充電機器、歯ブラシ、他)

この中にあるもので必要なのは非常食と常備薬と充電機器と歯ブラシ、そして日記帳だけです。
ラジオや本は娯楽のために持っていきました。


ハクキンベンジンハクキンカイロ、計量カップ、着火用のライター

一番左のやつはお酒ではありません。ハクキンカイロの燃料です。
最大で24時間発熱し続けるハクキンカイロは無いと困ります。
困り果ててコマになって飛んでっちゃいます。

僕は旭川ホーマックで購入しました。
地元(北陸)のホームセンターにも売って居るところを見たことが無いので、ご当地品かもしれない。

服装について

人間の装備について。

目出し帽、ヘルメット、冬用グローブ

目出し帽=バラクラバはあったほうがいい。
でもAraiのヘルメットを使用しているじゅえる氏が「きつくて入らないので使えない」と言っていました。
自分は比較的余裕があるOGK製のヘルメットを使用していたからか問題はなかった。

ヘルメットにはピンロックシールドを付けてます。
電熱シールドやヘルメットワイパーも魅力的ですが、ピンロックシールドで最低限の視界は確保できると思います。

グローブはコミネのゴアテックス素材のものを新調しました。
暖かいのですが、やはりというかなんというか走り出すとナックルガードもハンドルカバーもグリップヒーターもこのグローブも意味ないんじゃないか?ってくらい寒い。超寒い。

UNIQLO・ウルトラライトダウン、ワークマン・イージス

これで全部じゃないけど写真を取って無くてな...

トップスのアウターとしてイージス、次にウルトラライトダウン、フリース、半袖Tシャツ、最後にヒートテックx2という構成です。

寒いときは寒くて、暑いときは暑い。
ヒートテックなんか熱が篭って苦しいし、ウルトラライトダウンもそんなに暖かく感じない。
登山用品などで揃えるのがいいと思う。

ボトムスはイージス(下)、しまむらで買ったシャカシャカ、1000円のジャージ、ヒートテックスパッツという構成です。
上と似たような感想です。これも登山用品で揃えるべきだと思います。

上下で共通しているのは「走行風を通さないこと」、「ダウンなどで温度を保つこと」、「肌に触れるレイヤーはヒートテックなどの発熱素材にする」の3点。
この原則を守っておけば、よほどのことがない限り寒さが原因で死ぬことは無いと思う。

予算が足りなくて、東京靴流通センターのニィキュッパ。
寒いのでやめましょう、と言いたかったけどそんなに問題を感じなかった。
できれば防風性能がもうちょっとあって、内ボアもあるやつが良さげ。

ルートについて

往路

ルート選択を間違ったと思ったことは一回もなかった。
カブを受け取って2日目に道南を走ったときに、融雪剤で重たくなった雪に足を取られたけどアレは避けられるルートを知らなかったからしゃあない。

圧雪が一番走りやすくて、アイスバーンが次。
重機が通ったり凍るタイミングが悪くてガタガタになってる道や、除雪されていなくてハンドルが取られる路面が一番イヤ。
新雪があるときも、その下の本当の路面が見えないから嫌。

1、2日目 小樽から苫小牧、苫小牧から岩見沢
heliumu.hatenablog.jp

当初は敦賀-苫小牧に乗船予定だったけど事実上の欠航となったので急遽舞鶴-小樽に乗船しました。
どうやら新日本海フェリーの最下等チケットは寝台らしいです。自分は雑魚寝のフェリーしか経験したことが無かったのでいい気分。

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2日目は電車での移動がメイン。

南小樽駅から千歳線に乗り、千歳駅で乗り換えて苫小牧駅へ。
苫小牧駅前で少しブラブラしてから室蘭本線苫小牧駅の隣の隣、糸井駅で下車。

乗っているだけで目的地に到着するのだからさぞ快適だろうと思っていたら、なかなか混み合っていた。
大荷物の自分は座って休むこともせず邪魔にならないようじっとしていた。

3日目 苫小牧から岩見沢
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3日目は魔の苫小牧-千歳で千歳、岩見沢付近から国道12号で北上のルート。

"魔の"苫小牧-千歳と書いたのは、おそらく今回のツーリングで一番道が悪かったためです。
開始直後ということもあり、こんな道が宗谷岬まで続くのかとうんざりしながら、平均時速20kmほどでボッコボコのアイスバーンを走りました。

千歳市街もボコボコしていましたが、圧雪道なぶん多少はグリップする道でした。
また、岩見沢付近は真っ平らなキレイなアイスバーンで、日中よりかは走りやすかったと記憶してます。

この日、-18度を体感することになります。

4日目 旭川まで
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新十津川駅で知人と合流し、のんびり国道12号を走って旭川へ。

この時の神居古潭付近の国道12号もガッタガタのアイスバーン

旭川市街は千歳市街と比べアスファルトが出ている部分が多かったように思います。
でもやっぱり市街地はダメなようで、ガタガタでした。

夜、ホーマックハクキンカイロを購入しました。

5日目 旭川-稚内
heliumu.hatenablog.jp

このときの道が自分の雪道走行の礎となりました。

基本は圧雪路面で、そこに新雪が少し積もったような路面がひたすら続いていました。
リアは右に左に振れ、でもフロントさえスリップさせなければスピードを出して走れる。

徐々に徐々にアクセルを開けて、後半は殆どフルスロットルで走れるように。

6日目 稚内-宗谷岬
heliumu.hatenablog.jp

男二人で一つのテント、むさ苦しい室内とは打って変わって清々しい天気。

マクドではしゃいで宗谷ではしゃいで吹雪ではしゃいで。

7日目 オロロンライン・ツーリング
heliumu.hatenablog.jp

この日は宗谷岬を起点としたオロロンラインへの日帰りツーリングへ。

風も稚内-宗谷ほどは強くなく、路面も半分アスファルト、半分圧雪って感じ。
オトンルイとN45モニュメントを見て、あとはガーッと走って年越し宗谷のイベントに参加。

復路

**8日目 heliumu.hatenablog.jp

10時出発。

オホーツクを浜頓別町まで南下して国土40号で音威子府へ抜けるルートへ。
年始なのでガソリンスタンドがやってなくて、なるべく短い距離のルートを選択して名寄まで南下する必要があった。

9日目 美瑛・富良野観光
heliumu.hatenablog.jp

旭川から国道237号で美瑛へ。
丘行って青い池行って蜂の宿行って富良野へ。
当初は国道38号で滝川へ抜ける予定だったけど、道道135号の誘惑に負け泣きながら三笠まで南下。

道道135号、国道452号は冬に通りたくない道でした。

10日目
heliumu.hatenablog.jp

室蘭で遊んで夜に苫小牧からフェリー乗船。

国道234号千歳市街をパスできるから、いい道。
苫小牧-室蘭を結ぶ道にも雪はなく、とても快適に走行できる一日でした。

11日目
heliumu.hatenablog.jp

DAY11、敦賀から小浜へラストランです。

これまでマイナスの世界に居たので、敦賀の気温がプラス8度だったことが印象的。
もちろん脱ぐまくった。

フル・アスファルトの国道27号を、倒すとグリップしないタイヤでズイズイ進んで帰宅。

まとめ

ふつうに考えたら、自分のペースだと苫小牧-宗谷岬は1日半のペースっぽい。
夜乗り込む船なら、20時頃に苫小牧で下船して翌日旭川、次の日に宗谷岬で一泊、旭川、苫小牧、帰宅、って感じ。
フェリーの日数を入れると7日。

(´-ω-`)1週間休みが取れれば...

(´⦿ω⦿`)社会人でも可能......ッッ!!

これにておわり。

リザルト

滞在10日
ODO 8416.8km > 9957.0km
総走行距離 1540.2km

1日目 0km(公共交通機関)
2日目 11.5km
3日目 202.4km
4日目 268.8km
5日目 91.8km
6日目 188.9km
7日目 254.7km
8日目 187.2km
9日目 283.3km
10日目 51.6km

ガソリン

2.53+1.93+1.40+2.80+1.60+3.02+1.60+3.02+1.92+2.50+3.53+0.95+3+1.78+1.79+2.07+2.54+3.95=41.93L

燃費: (1540.2-51.6)/41.93 = 35.50km/L

破壊

過去の年越し宗谷岬まとめリンク

2016年: 年越し宗谷岬 まとめ 2016-2017(この記事)
2017年: 年越し宗谷岬 まとめ 2017-2018
2018年: 年越し宗谷岬 まとめ 2018-2019
2020年: 年越し宗谷岬 まとめ 2020-2021

(この記事は、前ブログ「heliumucublog(雨の音、カブの音)」からインポートし、多少編集を加えたものです)


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